ぼくとかわいい君と【短編集】second (ページ2)

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いつもデートに誘うのは俺からだ。
分かってる。目黒は忙しいから、余裕のある俺から誘うのが一番いいって。俺が目黒の予定に合わせて、行く場所とかも考えて、リードする。それが歳上の務めなんだろうって。
目黒は一度も俺に会いたいとか言わない。

俺は数日会えないだけでこんなにも寂しいのに。会いたいって思うのに。

『次いつ空いてる？』

昨日送ったメッセージには既読すらついてない。

会いたいって思ってるのは俺だけなの？

俺は送信を取り消した。

＊

目黒は、ハイスペック、スパダリ、ステータス百点満点。

過大評価だって？そんなことない。

ドラマ、バラエティ、ダンス、歌。
目黒がこなしていることは本当に多岐にわたる。こんな満遍なくこなすやつ他にいる？

それに加えて友達も多い。テレビの出演でいろんな人との共演が多いことに加えて、人懐っこい性格だから目黒の周りにはいつも人がいる。俺が入る隙間なんて無いくらい。

そっか。俺、目黒に愛されてないんだ。

目黒のそばにいるのは、俺じゃなくてもいいんだ。

あーあ。気づくの遅すぎでしょ、俺。

俺は目黒が好きだけど、目黒は俺のこと、そういう意味では好きじゃなくて。会いたいとか特別思ったりしなくて。

俺はずっと一方通行の恋をしていた。両想いだと思い込んで、恥ずかしいやつだな、俺。

目黒が俺の告白をオッケーしてくれたのは、俺が先輩だったから断りづらかったんだろう。嫌いな先輩でもないし、いっか、みたいなノリだったんだろう。だから、俺に好きとは言わないし、デートにも誘わない。

俺、最悪だ。

久しぶりのグループでの撮影だった。雑誌に載せるために三人ずつの三組に分かれて撮影をするらしい。

｢どう分かれるー？｣
｢好きに分かれてええの？｣
｢うん、なんか今回はこっちで決めていいって｣

そうなんだ…。目黒とはさすがに組めないな…。

｢ね、涼太、ふっか。一緒組まない？｣
｢え？まぁ、別に、いいけど…｣
｢どうしたの、なべ｣
｢何が？｣

ふっかが言わんとしてることは分かってるくせにとぼけたフリをする。

目黒と組まなくていいのかって聞きたいんだろうな。

ふっかは俺がわざとなんのことか分からないというように振る舞っていることを察したらしく、それ以上の追求はなかった。