ぼくとかわいい君と【短編集】second (ページ15)

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佐久間はゆっくり体を起こして俺と向かい合うようにソファーに座り直し、早く、と急かした。
俺の心臓はめちゃくちゃ速くなって、顔に熱が集中する。

「目、閉じろよ」

じっと見つめられては居心地が悪いし、何よりキスしづらい。佐久間はそんな俺の気持ちを汲み取ってスッと目を閉じた。

腹をくくれ、俺…！

ゆっくり顔を近づける。本当にめちゃくちゃゆっくり。あんまり近づきすぎると俺のドキドキが佐久間にも伝わってしまいそうで嫌だ。
ふにっと柔らかなもの同士が触れる。触れるだけのキスだけど、キスはキスだ。よく頑張った、俺、なんて自分を褒めながら唇を離そうとする。その瞬間、後頭部に手が添えられて、急に佐久間の唇に再び触れさせられた。

「んっ!?」

前触れもなくそんなことをされたため抗議したかったが口を塞がれていては何も言うことが出来ない。嫌がる素振りを見せる俺を佐久間は後頭部に回した手で押さえ込んで、さらにキスを深くした。
侵入してきた佐久間の舌が俺の舌と絡まる。

「は…んっ、ふ…！」

上手く呼吸が出来なくてじわりと俺の目に涙が浮かぶ。佐久間はやっと唇を離して、俺を解放した。

「な、にすんだよあほ佐久間…！」
「いやぁ、プルプル震えながらキスする翔太が可愛くてつい」

“つい”じゃねぇんだよ…！急に深いキスすんなっての。
文句を言おうと口を開いた俺に、佐久間は、今度は俺の耳に自身の唇を寄せた。

「ベッド行こうか」

俺の反応も返事も聞かずに、俺を軽々と持ち上げて寝室に向かった佐久間。俺よりも身長低いくせに俺のこと持ち上げられるのは普通にすごいと思ったけど、同時にムカついた。

寝室のベッドの上に寝かされて、その上に佐久間は乗る。佐久間の桃色の髪がサラ、と揺れて、艶やかな雰囲気を漂わせる。

「抱くんじゃ、ねぇのかよ」

俺を見つめるだけで何も手を出してこない佐久間。焦れた俺は軽く睨みながら佐久間にそう言った。

「もちろん抱くよ？でもその前に聞いておこうと思って」

何を…？

「なーんでそんなかわいい格好してんのかなって」