ぼくとかわいい君と【短編集】second (ページ24)

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いつまでも付き合わないのなら俺が翔太くんを奪ってやる。翔太くんは押しに弱いしチョロいから、俺の想いをめちゃくちゃ真っ直ぐ受け入れてくれるだろう。それで、そっから俺に惚れさせればいい。そう簡単にいくとは思っていないが、充分可能だと思う。

翔太くんに想われて慢心してるんならそれは大きな勘違いだ。人の気持ちは変わる。繋ぎ止める努力をしなければ、想いは簡単に離れていくんだ。俺は、一度掴んだものを放す気なんてまったくない。翔太くんも、早く俺を好きになればいいのに。

だから、俺は二人の恋をあんまり応援していない。翔太くんの話を聞いてるのだって下心からだし、どさくさに紛れて翔太くんにくっついたりしてる。まぁ、翔太くんにはあんまり効果は無いけど。
たぶん翔太くんって元々鈍いんだろうね。

その時、ヴヴッと手の中のスマホが震えた。見ると翔太くんからメッセージが届いたことを知らせるものだった。

『目黒、今夜暇？』

内容を確認して俺の口元が勝手に緩む。恐らく、また舘さんの件で話したいことがあるのだろう。
なんだかんだ翔太くんは俺を頼りにしてくれている。きっと舘さん以上に。それはたぶん翔太くんは無意識だ。
気づいてるのかな？舘さんを好きになってから俺と一緒にいる時間がめちゃくちゃ増えたこと。楽屋や雑誌の撮影では俺の隣に来るようになったし、話し相手はどのメンバーよりも俺が一番多い。
舘さんはそれに気づいていて俺への嫉妬心を加速させている。自分でも性格悪いなぁって思うけど俺はそれに優越感を抱いていて。

俺は翔太くんに返信した。

『暇だよ。俺ん家くる？』

するとすぐに既読がついた。

『行く』

短い簡潔なメッセージに翔太くんらしさを感じた。
ほら、翔太くんの今夜は俺が予約した。

ねぇ、翔太くん。早く俺がいないと生きていけないって気づいてよ。